PANYO*PANYO 風邪の日(聖明編)

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風邪の日(聖明編)
2011/05/03 (Tue) 23:11
風邪の日
携帯版HPより移植作品
多少の修正有

**********

【風邪の日*聖明編】

「聖明!何やってるのさ!!!」

そう書斎に怒鳴り混んで来たのは、風真だった。
綺麗な顔を怒りに歪ませ、ずんずんと歩み寄る。

「え…?何って…調べ事を…。」

きょとんとした表情で応える聖明に苛立ちを覚えずにはいられなかった。

「そういうことじゃなくて!病人が何で調べ事なんてしてるんだ!?」

昼間、聖明はキッチンで食事の準備中、いきなり倒れこんだ。原因は過労だろう。
最近、ゆっくりしている彼を見た記憶がない。
休まない結果、免疫力が下がって風邪を引いたみたいだ。

「え…と…ほら、名医だから大丈夫だよ。」
「そんな言い訳があるか!!!部屋に戻るぞ。」

彼の手を取ると、無理矢理引っ張り歩かせる。しかし、聖明は足がもたつき、本棚に片手を付き、身体を寄せる。
風真は、いきなり重くなった手に気付き、振り返る。

「ほら見ろ。熱があるんだろ?歩くのもままならないのに…出歩くなよ。」
「~~…っ」

聖明は返す言葉もなく、ただ苦笑してみせる。

「ほら、肩を貸してやるから、部屋に戻るぞ。」

聖明はおとなしく、彼の肩に寄り掛かる。
口調は相変わらずだが…何だかんだ言って心配してくれる、風真の気遣いが嬉しい。

「ありがとう。」

私は素直な気持ちを言葉にする。でも、風真からは反応はない。
いや…照れているのか…顔が赤らんでいる。可愛い奴。
本人に言ったら殴り倒されるだろうから…心の中だけで止どめて置こう。

†††††††††

「風真…何やっているのかな…?」

そうベットから尋ねるのは聖明だった。
書斎から部屋まで付き添ってもらったのだが…ベットに入れられたと思ったら、彼は部屋のタンスを徐に開け何かを探している。

「え?パジャマと体温計。熱あるくせにカッターシャツにジーパンはないだろ。」

聖明は暫く考え込む。
……パジャマ…?
……………持ってたっけ…?

根本的に困ったことを思い出す。多分、パジャマなどない。
普段、寝る時は私服のまま寝る。
仕事をしているとうっかり、そのまま寝てしまったり…。
風呂上がりに着替えるものの…やはりそれは私服であって…。
夜も何かとやろうと思うと、私服のほうが動きやすい。
その結果…着替えることを忘れ、私服のまま就寝。
パジャマと言う存在は…あるかもしれないが…ない確率のほうが高い。
そんな思考を巡らせていると、唐突に風真の声が耳に入る。

「体温計、見つけた。」

あるかないかわからない物に関して脳内処理をしている間に、体温計だけは発見したらしい。
風真は体温計を投げ渡し、再び探し始める。

「ふ…風真…服は適当に着替えておくから…水枕か、冷えたタオルを持ってきて欲しいな…。」

存在が危うい物を永遠に探さすぐらいなら、適当な服に着替えた方が早い。
その上、これ以上、汗で濡れた衣服を着ていたくない。
ということで、上手い具合に話を逸らせ、頭を冷やすアイテムを持ってきてもらおうという魂胆だ。

「あ、わかった。じゃぁ、とりあえず…これとこれにでも着替えてなよ。直ぐに持ってくるからさ。」

風真は、適当なTシャツと少しダボっとしたジーパンを渡すと、パタパタと足音を立てながら部屋を後にした。

『助かった…。』
と、内心安堵の色を浮かべる。
きっと「パジャマなどない。」と言ったら、「いつも何着て寝てるんだよ!!!」とか…
「だから風邪引くんだ!!!」とか怒られそうだからね。
風真の怒った顔を想像しながら、服を黙々と着替える。

「…ちょっと辛いかな…。」

額に手を当てると、やはり熱く…思わず情けない自分に苦笑を漏らしてしまう。
大人しく、体温計で熱を測りながらも、布団へと潜り込む。

「直ぐに治したら…駄目かな…。」

本当なら、放置して治るのを待つつもりだった…。
もし本当に辛い風邪なら、魔法で無理矢理治すつもりだった。

普通の人間や天使と違い、堕天使は不死だ。
通常、風邪の時に無理矢理魔法で風邪の原因である菌を、殺すのは好ましくない治療法だ。
身体が弱っている分、身体が受けるダメージは大きい。
風邪が治ったとしても、身体が回復するのは風邪を治すより遅くなる…いや、最悪、死に到ることもある。

本来、魔法医学は身体能力を高めたり、サポートするために使用されることが多い。
それは、攻撃的な治療法だと肉体が治療についていけないからだ。

でも…それは人間や天使の話であって、堕天使は違う。
どんなに身体的ダメージを受けても、死ぬことはない。
まして風邪菌の殲滅(せんめつ)なら身体が怠いぐらいの後遺症で終わる。
それも2・3日程度の話。
堕天使を襲う"発作"に比べたら、何ともない。
高熱も直ぐに下がるし、頭痛もなくなる。
だから、いつもは風邪を引くと直ぐに魔法で治していた。
そうやって一人で生きていた。

でも…今は風真がいる。
もし、魔法を使って、簡単に治ってしまったら…風真はどんな顔をするだろう。
どんな反応をするだろう。
幾ら死なないとは言え…自分の身体を疎かにしているような治療法をしているのには違いない。
それを知ったら、風真はきっと怒るだろう。

『堕天使だから。』

そう言ったら、彼は凄く嫌そうな、悲しそうな…悔しそうな表情をするんだろう。
そんな顔をされたら…風邪が治っても、心が苦しくなる。
風真に嫌な思いさせる。
それは、私にとって嫌なことだから…これからはきっと…絶対にそんなことはしない。

「風邪って…どれぐらいで治るものだったかな…。」

苦笑しながら、窓枠の向こうに映る空を見上げる。
ピピピピ。
体温計が計測終了の音を発する。
私は体温計を手に、目を細めながら見る。

「38.9…か。」
「聖明~水枕も見当たらないじゃないか。
いざという時のための生活用品ぐらい買っておけよ。
金ならあるだろうが。」

そう言いながら、片手に凍水の入った桶を持ちながら歩み寄って来る。

「ごめんごめん。今度買っておくよ。」

水音が聞こえたかと思うと、額に心地よい温度のタオルが置かれる。

「ほら、仕方ないからタオル冷やしてやったぞ。」

相変わらず面倒臭そうに言う風真だけど…彼の優しい声は、私に笑顔を与えてくれる。
たまにはこういうのも良いかもしれない。
君に想われて、心配されて…この幸せを噛み締めていたいから…
私は意地でも魔法で病気を治してやらない。
君の優しさをもっと感じていたいから。

「ありがとう、風真。」

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灯夜 雪(Touya Yuki)

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